予約を断る時
私の働く店では、夜に時々、グループの社長が様子を見にやってきます。
ある時、ちょうど大学生のバイトの子がお客様の予約電話をお断りしていました。
「はあ、大変申し訳ございませんが、その日は満席で・・・ええ、恐れ入ります・・・。またどうぞよろしくお願いいたします。」
電話を切ったその子に、すかさず一言。
「あんな。
お断りをするにしても、お名前を聞くことやで。
それで、『○○様、ご連絡先だけ念の為いただけますでしょうか。』って、連絡先も聞くねん。『キャンセルが出ましたら、念の為ご連絡させていただきますので』って言うねんわ。
で、キャンセルが出えへんかっても、次に来はった時、『こないだは申し訳ありませんでした』って言うねん。」
確かに、これは他の飲食店ではなかなか望めない心遣いです。
人気店であればなおのこと、現場の本音はどこか、
「満席だとゆったりしたサービスが出来ないし、トラブルが起きても対応しきれないと困るから、自然減は歓迎」などというものじゃないでしょうか。
社長のこのコメントを聞いて、店の空気に違う風が入ってきたような気がしました。
現場の考えは自己中心的。
社長は、儲けのことも考えているかもしれませんが、考えの中心は「お客様のこと」だと思いました。
「だってな、京都に星の数ほど料理屋があんねんで。
そん中からうちを選んで、お客様のほうからわざわざ電話してくれはってんから。
ほんまにありがたいことやろ。
それを忘れたらあかん。」
お客様の側に立ったとき、せっかく行こうと思った店が満席だったら、どんな受け応えが一番嬉しいか?
私なら、店が人気やネームバリューに奢らず、申し訳なさそうな声でこちらの名前を聞いてくれるだけでも嬉しいです。
ましてや、キャンセル時のひと手間を約束してくれたら、「人気があるのに謙虚だなあ。また来よう。」と好感を持つこと間違いなしなのです。
これぞ、味が図抜けていなくてもその店に通う理由、『サービスは味を超える』瞬間です。
社長の言葉から気付くのでなく、自分の標準の立ち位置から、当たり前のようにそんな考えが出てこなければ本物ではありません。
背筋が伸びる思いだったと同時に、「ひょっこりやってきて1つのシーンをみてさらりと改善する社長は、伊達に44年もこの業界で苦労をしてきてはらへんよなあ。当たり前のようで、ここまで現場にとってコアな部分を逃さず指摘するのはなかなか出来ないよ・・・」と改めて尊敬するのでした。
しかし!
問題は、その情報をどうやって共有するかなのでした。
再度別の日に予約をトライして、無事来てくださったお客様の経緯を認識し、ちゃんと漏れなく謝り、感謝するには??
「それはな。
コンピューターでもリストでもないねん。
『カンピューター』や。(頭をさして)ココやねん」
ご、ごもっともで・・・(汗)。
これは、備わっていればものすごく貴重な才能です。
そして、ほとんど毎日入っている現場サービスのマネージャーは、努力を重ねてそのセンスを身につけなければならないと思います。
私も、入っている頻度を思えば限界があるけれど、微力ながら協力できればと思います。
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