~虎屋菓寮~ また名所が出来ましたよ♪
白い暖簾に黒字で「とらや」の店構え。全国のデパ地下では、よく見かける屋号です。
そう、雑誌か何かで、年配の方の発言で「お土産には、銀座の虎屋の羊羹なら間違いが無い」と目にしてから、てっきり東京発祥のお店だと思っていました。
でも、'09/5/15にリニューアルオープンしたばかりの虎屋菓寮・京都店に今回初めて行ってきて、こちらが室町時代から禁裏(朝廷・天皇の御座所ですね)に出入りを許された、大変由緒ある京都発祥の屋号だと知ったのです。
ちなみにそんな特別な菓子屋は、近世で残ったものとしては虎屋、松屋、二口屋の3店。
松屋は御所南で「松屋常磐」として今も盛業中ですが、二口屋は江戸時代に経営が悪化し、虎屋に経営権を委譲したのだそうです。
虎屋は、大政奉還で明治天皇が東幸したのに伴ってその拠点を移したということですから、よほど禁裏のおぼえがめでたかったのか、忠誠心やプライドがそうさせたのか・・・、ちなみに、江戸幕府お抱えの菓子屋は軒並み廃業したそうで、当時の世相を思えばとても興味深いですね。
さてさて、マニアックな前置きが長くなりましたが、そんな創業地を大変大切に思っていることが伺えるこの京都・烏丸一条(つまり、御所のすぐ西脇です)の虎屋茶寮は、とても素敵な空間なのです。
アーチ状の杉が施された高い天井の、広々とした店内の両脇には・・・
こんな素敵なテラス席(露台席と言うそうです)。
特に、北側の席では、お稲荷さんや北野天満宮から拝受したという白梅のある中庭を眺めながら、ゆったりとお茶をいただけるのです。(だからでしょうか、こちらの席は、向かい合わせでなく横並び席です)
全体に、低いテーブルや御簾のような引き戸など、水平イメージのインテリアを多用していて、そして庭先の横広がりの曲松や、空間に浮かんでいるような楓・・・それらからも一層清々しく広々とした印象を受けます。
あんみつや氷、京都限定の豆腐のお菓子や羊羹など数ある品書きからお願いしたのは、「紫の玉」という銘のお菓子とお薄(お抹茶)。
この紫の玉、ちょっとアップで見て下さい。
本当に綺麗なお菓子です!押し物ですね。もちろん、季節の紫陽花を模しています。外側は少しねっとりとした羊羹製、中に白餡が。
それにしても、なぜこんな色なのに「紫の玉」なんでしょう??
お茶を足しに来てくださった若い女性の給仕の方に、ちょこっと尋ねてみたところ、「私どもは、天然の着色料のみを使っておりまして、出せる色にて作っております。人口の着色料を使えば何とでもなるのですが・・・。」とのこと。
この女性が何とも感じがよく親切な方で、私がお菓子に興味を示すと、こんなものを持ってきてくださいました。
この時期に供される生菓子の解説です。(感激)
こちらによると、このお菓子は、「紫之玉」として大正7年に初めて販売された記録が残っているのだそうです。色については当時のデフォルメを尊重したのでしょうか。
紫陽花は青紫のものもありますし、何といっても昔から紫は高貴さの象徴ですものね。
それから、せっかくですしお茶碗もご紹介。
花菖蒲ですね。今が盛りの花です。
すっかり満足してまったりしていると、ほどなく、先ほどの女性が
「良かったらお菓子の本もたくさんありますので、ゆっくりご覧になって下さい」
こちらのお店の特徴は、店内に京都のお庭やお菓子、源氏物語等に関する書籍が本当にたくさんあって(上の店内写真にも、その書庫が写っていますが)、それを自由に読みながらお茶をいただけるということ。
冒頭に私が書いた薀蓄は、その本を興味津々で眺めたことによって得た知識だったのでした。
そんなこんなですっかり長居をしてしまいました。うーん。ちょっと欠点が見つかりませんね。
ふと気遣いで給仕のかたがかける声や、店内のそこかしこ、そして品書きの書き方一つにも、「どうぞ心地よく過ごしてください」の声なき声に溢れたお店です。
\1000前後で、こんな豊かな時間を過ごせるんですから、これはもう、本当にお勧めです。
ただ、週末は込み合うでしょうし、何だか所在無くなってしまいそうなので、やはり堪能するには平日でしょうか・・・。
■虎屋菓寮
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